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メガストアは家族が小さくなっても大きくなる

イケア店舗外観
Costco exteriorCostco exterior

21世紀は日本の大型店の時代。大規模小売業者は日本の生活のさまざまな面で足がかりを築いている。例えば、家具大手IKEAは、若いカップルに人気のデートスポットとして評判を得ている。こうしたカップルが親になれば、ベビーザらスでベビー用品を買い、子供たちが少し大きくなれば、隣にある楽しいテーマストア、トイザらスに移る。2リットル入りのシャンプーやその他の経済的な家庭用品を買いあさっている成長期の家庭には、コストコの倉庫が最適だ。

ベビーザらスベビーザらス

皮肉なことに、日本の家族が小さくなっているにもかかわらず、こうした店は大きくなっている。日本の出生率は1970年から減少し、女性一人当たりの子どもの数は2018年で1.42人に過ぎない。安定した人口を維持するためには、2をわずかに上回る割合が必要と言われる。しかし、2000年に大規模小売店舗法が廃止され、既存の近隣小売業者の承認を条件に大規模小売店舗の出店が可能になったことなど、大規模小売店舗に有利に働く要因がある。長年、米国政府はこれを貿易障壁と見なし、日本にこの法律を廃止するよう圧力をかけてきた。今では、スーパーマーケットやショッピングモールの大手チェーンであるイオンのような日本の大手小売店は、かなり拡大している。しかし、スウェーデンのIKEAや、アメリカのトイザらス、コストコなどの外資系企業も大きな恩恵を受けている。これら3店舗の運営方法には類似点があるが、それぞれが日本の消費者にアピールする独自の方法を模索している。いずれも在庫を抱え、低価格を目指す。これを実現する1つの方法は、日本の複雑で伝統的な流通チャネルを迂回する方法を見つけることだ。この3つの店舗は、見た目は大きく異なっているが、建物のある部分には特定の入り口を、別の部分には特定の出口を設けて、顧客の体験をある程度コントロールしており、同じようなルートに沿ってスムーズに店舗を案内している。そして、3社とも日本への進出を慎重に計画した。

おもちゃの山
日本で最初に成功したのはトイザらスだ。日本トイザらスのアームストロング広報部長は川崎市内の事務所でのインタビューに応じた。1989年に日本本社を開設したが、1991年まで日本国内に一号店を出さず、その間、独自の物流システムを構築していたことを明らかにした。「日本の流通チャネルは、玩具市場だけでなくあらゆる分野で非常に複雑です。そこでトイザらスはメーカーと直接取引を開始しました。だから、おもちゃをもっと安く提供できるのです」と説明した。当初、ベンダーは直接取引の経験がなかったため、時間をかけて交渉し、直接取引を行うように説得したと言う。現在は、千葉と神戸に主な配送センターがあり、北海道と九州に小さな「倉庫」がある。1991年に茨城県に最初の店舗がオープンした時、ニューヨークタイムズ紙は「トイザらスが、急成長を遂げている日本のコンピュータゲーム会社、任天堂から直接買収の契約を取り付けたことで、これは大きな転換点である」と伝え、日本の流通システムは迷路のようになっているとも報じた。アームストロング氏はトイザらスが日本初の店舗をオープンしたとき、その規模の大きさに皆が驚いたと述べ、現在の平均的な売り場面積は2,500平方メートル以上だと付け加えた。「また、通路がとても広いので、大きなショッピングカートも安心してご利用いただけます」「日本の玩具店は、比較的小規模で個人経営のものや、[名物]の一つとして大きなデパートの中で経営されていることが多い。」と言う。「以前は大規模小売店舗法があったので、日本で大規模な店舗を開くのは本当に大変でした。」米国政府は、ブッシュ大統領が1991年の二番目のおもちゃのグランドオープニングに直接出席するほど関心を持った。

先日、埼玉県にあるトイザらスの店舗を訪れたとき、子どもたちの目の高さに合わせた大量の商品の中、棚にたくさんのビデオモニターが置かれていることに感銘を受けた。中には、近くの製品の簡単な広告を流しているのもあったが、最も興味深かったのは、無線操縦のヘリコプター 「Honey Bee」 やキャンディセット 「Sugar Bunnies」 など、あらゆるものの使い方を紹介するデモビデオだった。「製品の機能を紹介したり、製品の遊び方を説明したり、製品の面白さを示したりしたいと考えています」とアームストロング氏は述べ、動画の豊富さを説明した。しかし、少子化で子どもの数が減っている今、日本でおもちゃ屋に希望はあるのだろうか?「少子化の影響で子供一人一人に使える時間とお金が増えています」とアームストロング氏は述べた。「市場自体は縮小していないのですね。子供一人当たりの販売量が増えているので。子供の数が減っているにもかかわらず、全体の市場規模はほぼ同じです」(同氏)同社は、1980年にヒットした玩具の復活に代表されるように、大人たちが懐かしい玩具を自分たちのために購入する最近の傾向から恩恵を受けるかもしれない。しかし同氏は大人をターゲットにしていないと強調する。「お子様やご両親、ご家族でお楽しみいただけるおもちゃでしたら、販売いたします。しかし、大人だけをターゲットにしているのであれば、販売はしません。それが私たちのビジネス方針です。私たちの店は子供向けです」例えば暴力的な「グランド・セフト・オート」シリーズのような成人向けのビデオゲームは扱っていない。同社は、2002年に日本初のベビーザらスをオープンし、ベビー服、ベビーカー、ベビーベッド、おむつなどを販売し、非常に若い人口層をターゲットにし始めた。「日本には、赤ちゃんをターゲットにしたような大型店はなかった。」2007年には、両店舗が隣り合って開店した。

イケア外観イケア外観

スウェーデンはスタイリッシュ
一方、イケアは、日本に9店舗しかない。しかし、イケアでは子ども向けの商品 (ほとんどが子ども用家具だが、おもちゃもいくつかある)を置いているだけでなく、親が買い物に行っている間に子どもを預けられる遊び場など、子どもに優しいアメニティを用意している。千葉県の松本敦子さんは「日本の若い家庭にとって、子どもを持つことに罪悪感を感じないのはいいことだ」と話す。「どこへ行っても、この国に幼い子供をもつと、 「超メイワク」 のようで面倒です」東京の母親、ハーディーひろみさんは、幼い息子のためにベッドを買いに来て、楽しい時間を過ごしたと話した。何を期待していたのかと聞かれて、「イケアのお店はとても広々としていて、すでにスタイルを知っていました」と答えた。その空間の大部分は、スカンジナビアスタイルの家具や小物で作ることができるスタイリッシュな装飾を展示している何十ものモデルルームに充てられている。それは、人々が留まることを奨励するセットアップです。「「これは本当に役に立つだろう」 とか 「これはこの部屋に向いている」 などと考えるのは簡単です。本当に楽しいと思った」曲がりくねった、しかしはっきりと目印のついたルートで歩けば、4万平方メートルもの売り場面積を持つ店内の隅々まで連れて行ってくれる。「まるでテーマパークのようです」と彼女は言う。ハーディー氏によると、イケアの店舗にはレストラン「閲覧するだけでなく、楽しむこともできます」があり、スモークサーモンやスウェーデン風ミートボールをグラスワインやハッピーアワーの100円ビールと一緒に味わうこと「テーマパーク体験の非常に重要な要素です」ができる。ゴージャスなショールームのフロアと隣接する倉庫の間で足を休めることができる。倉庫では、実際の商品が平らな段ボール箱に積み重ねられている。

ロボットスケールロボットアームで耐久性を

商品は自宅で自身で組み立てなければいけない。イケアのセルフサービス機能は、同社が価格を抑える1つの方法だ。デザイン性の高さにもかかわらず、長期間の耐久性は家具の強い魅力ではないという見方もある。私が話を聞いたイケアのある顧客は、子どもの家具を買うのに良い場所だと言い、別の顧客は、若い家族が最初の家具を買うのに良い場所だと言った。どちらの場合も、最終的に商品が「取り換えられる」ということになる。イケアでは、家具をつけたままの状態で、引き出しを開いたり閉じたりするロボットアームや、イケアのシートの上でバウンドするロボットアームなど、博物館のようなディスプレイを設置している。ブランドをクールにするための優れたキャンペーンである。実は、イケアが日本に参入しようとするのは2度目の試みだ。1972年から1986年の間に、はるかに小規模な規模で商品を販売した後、販売を中止して日本を去った。理由の1つは、日本側のサプライヤーがほとんどいなかったためだった。また小さなスペースでは、今ほど人気のあるイケア体験を提供することは不可能だっただろう。同社の復活を支援した日本貿易振興機構(ジェトロ)のウェブサイトによると、同社は「イケアが日本に参入した背景には、日本の大規模小売店舗法の規制緩和により、大規模小売店の参入が容易になったことがある」と言う。2006年に日本で最初の店舗をオープンするずっと前の2002年に日本事業を立ち上げ、その一部の時間を割いて100軒以上の日本の家庭を訪問し、どの製品が最適かを調査した。そして、話題を呼ぶためにイケアは2006年、東京のオシャレな青山に屋外用の「博物館」を設置し、イケア様式で飾られた14種類の4.5畳の部屋(約7.4平方メートル)を展示。2008年の初めには、駅前の神戸店をオープン。活気のある内装、カーテン、塗装などを施した。松本さんは「スウェーデン発のものは何でも、日本の若者にとってクールなものだ」と話す。

まとめ買い
コストコはスウェーデン出身ではないし、クールではない。しかし、米国の巨大企業は依然として日本人を魅了している。客は年間4,400円「会費」を支払う必要があるが、店は豪華なクラブではない。千葉県のコストコを訪れた時、私は骨抜きの装飾品に衝撃を受けた。高い天井の下の金属製の棚に、針金と梁がむき出しになった収縮包装された商品のパレットが積み上げられていた。会員登録エリアは、チェーンリンクフェンスの可動部分からスタート。コストコ社のマーケティング担当副責任者、カイラ・ホワイト氏は電子メールで、「コストコは、従来の卸売業者や小売業者につきものだった、販売員、高級ビル、配送、請求、売掛金などの余分なコストを事実上すべて排除することで、より低価格でより良い価値を提供することができる」と述べた。「経費を極端に抑えてタイトに運営しているため、大幅な経費節減をメンバーに還元できます」食品とうがい薬からタイヤまで、いろいろある。ほとんどのものがまとめ買い用だ。たとえば、ティラミスは、日本で人気のあるプリンのようなイタリアのケーキで、1.3キロのバケツで買うことが可能だ。「コストコの主なターゲットは、レストラン、バー、インターネット再販業者などの中小企業です」とホワイト氏は説明する。同社は子どものいる家庭もターゲットにしている。店内には大規模でにぎやかなベーカリーがあり、コストコのハウスブランドであるKirkland Signatureの下でより安く販売されるために、多くの商品が「有名ブランドメーカー」によって作られている。「日本市場への参入を決定する前に、かなりの期間にわたって市場調査を行った」とホワイト氏は書いている。日本初のコストコは1999年に福岡市近郊にオープンし、現在は札幌市北部まで全国に26の店舗がある。コストコは、少数の地域が示すよりもはるかに高い知名度を持っている。同社は、2006年に日本の小売店で初めて禁止されていた米国産牛肉の販売を再開するなど、ニュースを繰り返してきた。「以前からアメリカ産の牛肉はとても人気のある商品で、メンバーからの要望も多かったので、このようにしました。出来るだけ早く商品を供給できるように対応しました」とホワイト氏は書いている。

最近では、コストコのポルタレゼルバカベルネソーヴィニヨンが、ジャパンワインチャレンジの「最高級ワイン」部門で優勝した。「ポルタはハウスブランドではありませんが、日本ではコストコでしか買えません」とホワイト氏は説明する。「ワインは私たちのワインバイヤーが選んだもので、私たちの条件に合うワインを探しにチリを訪れました。ワインは品質(味輪郭を含む)と価値を基準に選ばれたのです」コストコの今後の計画として「今後数年間で少なくとも20カ所を開設する計画だ」最近、コストコへ買い物へ行った松本さんは、「私たち日本人が思っていたよりも多くのお金を払っていることに今気づきました。日本人はいろいろなことにお金をかけすぎます」と言っていたのが印象的だ。やはり安くて品物が良いものであればどこでも売れる。これはいつの時代も変わらない不変の真理であろう。

ABOUT ME
島田 亮司
ストックホルム大学交換留学を経て、中央大学法学部卒業。都内の大手教科書出版社に入社、主に英語辞典や教材の編集、異文化理解教育のテキスト製作を担当。その後、PHP研究所にて英文月刊誌の副編集長として国内外の取材、執筆、編集に携わる一方、松下幸之助研究の研究スタッフとして外国人経営者向けの研修セミナーの企画、運営、講演を行う。また、1997年設立のNPO国際交流団体SIEN(埼玉県国際交流協会登録)の代表として現在までの22年間、異文化理解、交流促進に関わる社会活動をする他、在日外国人向けに賃貸物件のアドバイス等を行う。宅地建物取引士。英語通訳案内士。
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